【塩の密封:シーラー】味噌づくりキットの販売をしている麹屋さん

シーラー

高砂みそさんの味噌づくりキットでつくる味噌が誰でも自宅で美味しく作ることができるのは、昔ながらのムロブタ製法による麹の旨味が際立つからです。

クチコミで全国に広がった味噌づくりキット。思わず友人に薦めたくなるキットの材料は一つひとつ丁寧に梱包されます。

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高砂味噌有限会社さま
地域:福岡県糟屋郡宇美町
導入機械:卓上シーラー
包装商品:塩

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味噌づくりキットで使用している塩の1袋の容量が850gから1kgへ変更になるため、自社で850gを計量したのち袋詰めが必要になったことから購入を検討されました。


▲高砂味噌の味噌づくりキットでは減塩のため850gの自然塩が使われています。これが1kgに容量が変更になるとのこと

インターネットから弊社を見つけていただき、事務所にご来店。お試し(テストシールさせて)いただきその場でご購入いただきました。

困ったことは、まず「シーラー」という機械の名前がわからなかったこと。最初は「充填機」「食品の充填機」でネット検索されて、他社へ話を聞きに行ってみるも…大きな機械で驚かれたとのこと。そこで探している機械の名前は「シーラー」ということを教えていただき、ネットで検索することができたそうです。


▲シーラーの使い方をレクチャーさせていただきました

味噌屋から麹家へ


▲先代を継いで4代目となった高場洋右さんと(高の正式表記は、はしごだかです)

福岡市のベッドタウンとして開発が進められている糟屋郡宇美町。町名の由来にもなっている「宇美八幡宮」は町のシンボルで、「宇美」の地名は「産み」に由来することから、“子安の杜”として多くの参拝客で賑わっています。そんな宇美八幡宮と道路を挟んで路地裏に佇む『高砂味噌』は、創業1922年(大正11年)とその歴史は100年以上。

創業以来、この地で味噌づくりを続けてきましたが、大手メーカーの台頭により価格競争に太刀打ちできず、卸先も次第に減少。味噌を卸しているだけでは立ち行かなくなりました。そのため、味噌づくりと並んで始めたのが、こうじ(麹・糀)、塩、大豆をセットにした味噌づくりキットの販売。徐々に味噌づくりキットの売上が安定してくる中で、麹屋として新たに舵を切り直したのが45年前。

2011年「塩こうじ」がブームとなり、今でこそ「こうじ」は一般家庭でも広く利用されていますが、当時から『高砂味噌』は主に個人のお客さま向けの麹屋として歩みを進めてきました。


▲昔の井戸の跡。味噌を仕込んでいた時は職人さんが住み込みで働いていたそう

手間ひまかけて作られる、健やかな麹

「お嫁に来てはじめてここでお味噌汁を食べた時は、その美味しさに感動しましたよ。『今までのお味噌汁はなんだったんだろう』って」。

そう笑うのは奥さんの亜希子さん。

『高砂味噌』の味噌づくりキットで手づくりした味噌の美味しさは、ひとえに麹の健やかさにあります。近年の麹づくりは機械を使ったものが主流ですが、『高砂味噌』では「室蓋(ムロブタ)」と呼ばれる木箱に麹菌を付けた米・麦を寝かせて麹を育てる昔ながらの「ムロブタ製法」を採用しています。


▲「これが味噌の材料です」と見せてくれたのは、高砂味噌で作られたこうじ(麹・糀)と塩と北海道産の大豆。麦こうじで作れば麦味噌、米こうじで作れば米味噌、ミックスで作れば合わせ味噌になる

「はっきり言って子どもより手がかかります」と亜希子さん。麹の仕込みは朝の3時から始まります。温度や湿度、空気量を調節できる密閉した部屋で麹の成長を注意深く観察します。この作業はとても神経を使い、まるで赤ちゃんを育てているよう。「手間はかかりますが、この昔ながらの製法でないとできない味があります」そう話す洋右さんから、麹づくりへの強い信念と愛情が伝わってきます。『高砂味噌』の味噌づくりキットでつくる味噌はこの元気いっぱいの麹が働いて発酵させるので、旨み豊かな味噌に仕上がるのです。


▲ 麹5kg、大豆1kg、塩850g(減塩)の材料で、10kgの味噌ができる。仕込んだ味噌の上に乗っているのはワサビ。
無添加なのでカビができやすく、なるべく防ぐために殺菌作用があるワサビや鷹の爪(切らずに1本)を入れておくのが○

昨日仕込んだばかりの味噌を見せてもらいながら、味噌づくりキットを使った美味しい味噌づくりのポイントについて話を聞きました。まず準備するものとして、材料以外に容器が必要になります。「材料を混ぜる容器(大きな樽)としっかり密閉できる保存容器がいります。とにかく空気に触れさせたくないので、保存容器は必ず密閉できるものを選んでください」と洋右さん。味噌が10kgできるので、容量が11kgぐらいの容器がベスト。発酵によってガスが中にたまってしまうため、余裕がある方がよいそうです。

「空気に触れない環境がとても大事なので、上に被せるサランラップは3重にします。『できたかな?』と、蓋を開けると新しい空気が入ってしまうので、漬け込んだら『勝手に育ちなさい』みたいな感じでほったらかし(笑)。保管場所は味噌になるまでは常温で大丈夫。家の廊下や階段の下、食器棚やキッチンの下などの直射日光が当たらない場所に置いてください」

ただ、ほったらかしといっても時々、容器の中にたまったガスを抜いてあげないといけません。「ガス抜きは体重をかけて蓋をほんの少し開け、さっと空気を逃す程度。気になるけど中をみてはダメ(笑)! お味噌と容器が密着しているとカビが生えることはありません。万が一、カビが生えたとしてもスプーンでカビの部分だけすくって取り除けば大丈夫です」と、亜希子さんが教えてくれました。


▲カビと間違えやすいのが、この白いつぶつぶ。これは大豆から出るチロシンという旨味成分。
納豆の周りが白いのもこのチロシンによるもの。大体カビは上にしか出ないそうです

仕込み終えた後に味噌の表面や容器の内側に、盃1杯のウイスキー、又は焼酎を霧吹きでシュッシュッとふりかけると、カビの防止に効果的だそうです。

「私はツーって飲める喉越しのよいお味噌汁が好きなので、1回こして使っています」と亜希子さん。手づくり味噌は米と麦がそのままの形で残るので、粕汁のようにざらつきがでます。食べる人の好みで使い方も分けられるのもいいですね。


▲大豆を煮るのは活力鍋がオススメ!普通の鍋だったら5〜6時間かかるところ、活力鍋だとシューとなって弱火で40分

営業はタッパー販売員のおばちゃん?!

麹屋として再出発した『高砂味噌』には根強いファンが沢山います。そのほとんどが個人のお客さまで「ここの味噌以外はもう食べられない!」と、3世代で買い続ける人もいるほど。お客さんは北海道から沖縄まで、全国にいるといわれるので驚きです。販売店はここ、福岡県糟屋郡宇美町のお店だけ。ネット販売も行っていません。「うちのお店の営業マンはタッパーウェアを売るおばちゃんたちでした」と洋右さんは振り返ります。


▲こうじ(麹・糀)は味噌の肝。
昔ながらの作り方で自家製造しているので、塩分控えめで旨みたっぷりの味噌ができあがる

昔は、どこの家でも麹から味噌をつくるのが一般的でした。それが時代の流れとともに、手間をかけて自分たちで仕込む機会が減り、味噌は市販のものを買うのが当たり前に。市販の味噌は大手メーカーが卸している商品。「実は、3代目(洋右さんのお父さん)のときに味噌屋を辞めて、酒屋にでも商売替えをしようかという話もあったんです。そこで、麹だけをうちで作ってお客さまに味噌を作ってもらうスタイルを考え出したのはうちの父です」と洋右さん。

まだインターネットのない時代に自ら考え出した味噌づくりキットの販売。では、そのスタイルはどのように全国のお客さまに知れ渡ったのでしょうか。

「うちがありがたかったのは、タッパーウェアの販売員のおばちゃんたちが、タッパーを売るために色々な料理教室を開催していたとき、その中に、うちの味噌づくりキットを使った“味噌づくり教室”があったんです。

すると“味噌づくり教室”の参加者から後日、『タッパーウェアの集まりで味噌を作ったんですけど、なくなったので味噌の材料を送ってください』と電話が。

タッパー販売員の女性たちが知らない間にうちの営業をしてくれていたんです(笑)。そのお客さまがずっとリピートしてくれ、知り合いに紹介して…、そうすると転勤などもあったのでしょう、気づいたら全国に広がっていった感じです。全てクチコミで広がっていきました。」と洋右さんが全国にお客さまがいる理由を教えてくれました。

「○○さん家でお味噌汁を食べて、すごく美味しかったので私も作ってみたいんですけどいいですか」と電話をしてくるお客さまも多かったといいます。ある時は九州大学の教授が授業で使いたいという理由で来店されたとか。それもやはりクチコミで見つけてこられたと。

「私も地域のバレーボールクラブに入っているんですが、そこでも『高場さんって何してるの?』と聞かれるので『味噌屋です』と言い、味噌づくりキットの説明をして作り方を教え、それから広がっていくこともあります。美味しさのあまり、誰かにいいたくなるんでしょうね(笑)」と亜希子さん。


▲出来上がった味噌は美味しい状態を保つため、すぐに小分けしてサランラップをかぶせ、空気に触れないようにして冷凍庫へ。
麹は生きているので凍結している状態になるだけで固まらないそう

地元の学校で食育の授業で使われることもあります。担当した先生が転勤するとそこでまた広げてくれるのだとか。

近所の幼稚園でも毎年、年長さんになると味噌を仕込む行事があります。完成した味噌は卒園の時にお家に持ち帰ります。すると、お母さんたちが「どこのお味噌か教えてください!」と園に聞いて来店されるそう。幼稚園だった子どもさんが高校生になる今でも買いに来てくれる方もいらっしゃるとか。

「そういえば、夏休みの自由研究で味噌づくりに挑戦した子が賞をとったこともあります。味噌がどんなふうに変化していくのか本当は開けちゃいけないんだけど、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後と蓋を開けて色などを記録してね。最終的に味噌汁になるまでの記録を一冊の本にまとめたらしいです。味噌は長い期間要するので、お手軽にできる甘酒の研究もおすすめです。甘酒は8時間でできます。温度が低かったら甘くなるとか酸っぱくなるとかあるので、そういったことを研究するのも楽しいかも」と2児の母でもある亜希子さんは子どもたちが体験を通して、食にまつわる楽しさを知って欲しいとの願いを語ってくれました。

手づくり味噌汁は健康づくり!

味噌や醤油などの発酵食品は腸内環境を整えて免疫力をあげると最近よく言われています。『高砂味噌』のお客さまからも「便秘がよくなった」「子どものアトピーがよくなった」「血液がサラサラになって体とお肌の調子がいい」という声を聞くそうです。美味しいだけでなく手づくり味噌は健康にも素晴らしい成果を発揮しているようです。

「すぐに結果は出ないんですけど、続けることで体の悩みが少しずつ改善されていきます。高校生の娘も毎朝ご飯と味噌汁でお肌がとても綺麗ですよ」と亜希子さん。


▲お店の歴史や味噌について色々なお話を聞かせてくださった高場夫妻。ありがとうございました!

こうじ(麹・糀)と向き合っていく

今のところネット販売は考えていないそうで、その理由を洋右さんはこういいます。「今まで世代交代をして30年やってきて、ありがたいことにお客さまもお母さんから娘さん、お孫さんまで買っていただいています。この絆を一番大切にしていきたい。販売数が増え、忙しくなりすぎることでこれまでのお客さまをお待たせするようなことはしたくないから」

「綺麗にまとめてるけど、『僕は休みたいんだ』とよく言っています(笑)」そう話す亜希子さんの表情は明るい。

現代では余計な添加物を含んでいない食べものは貴重になっています。ぜひ、味噌づくりに挑戦して美味しさの感動を味わってみてください。


▲お客さまとのつながりをとても大切にして商売をする洋右さん

味噌づくりキットのご注文はお電話飲みで承っています。

高砂味噌有限会社
福岡県糟屋郡宇美町宇美2丁目3-6
TEL 092-932-0062
FAX 0120-320062

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